複層ガラス(ペアガラス)

複層ガラスの特徴について

複層ガラスとは

複層ガラスの構造

複層ガラスは1つのサッシに対して複数のガラスを使用しており、ガラスとガラスの間に密閉された中間層を設けたガラスです。

一般的には2枚のガラスを使用した複層ガラスのことを指すことが多いですが、ガラスを3枚使ったトリプルガラスもございます。

断熱や遮熱、結露の防止など暮らしを快適にする効果を得ることができ、日本では寒冷地を中心に普及が進んでいます。

主に住宅やビルや宿泊施設など建物の窓に使われており、透明度の高い高透過ガラスを使って冷蔵のショーケースにすることも出来ます。

また、飛行機や新幹線の窓ガラスも複層ガラスが採用されています。

中間層の効果

中間層には乾燥空気やアルゴンガスなどが封入されているか、真空状態となっています。

熱は空気の対流によって移動しますが、複層ガラスの中間層は対流が起きないため屋外と室内の熱が伝わりにくく、魔法瓶のように家の温度を保つ効果があります。

中間層は6mm~12mmほどで、一般住宅で使用される複層ガラスの中間層は基本的に6㎜程度となっています。

中間層の幅が広いと屋外と室内の距離が遠くなりますので断熱効果が高くなりますが、幅が広すぎると対流が発生しやすくなるため効果が下がってしまいます。

乾燥空気

空気から水蒸気を除いた気体で、一般的な複層ガラスには乾燥空気が封入されています。

水分を含んでいない乾燥空気は結露が発生しません。

空気はもともと熱伝導率が低い性質で、密封されることによって対流が起きにくくなっています。

アルゴンガス

大気中に0.93%の割合で含まれており、無色・無臭・無味、他の物質と反応を起こさない不活性の気体です。

空気より熱伝導率が低く比重が重い性質が特徴で、複層ガラスの中間層ほか、電球や蛍光灯や真空管の封入ガス、食品や金属の酸化と窒化防止にも使用されています。

乾燥空気より熱伝導率が低く、断熱効果に優れます。

真空

中間層が真空状態となっており、空気の対流と熱の伝導が発生せず高断熱・高遮熱性が期待できます。

乾燥空気が封入される場合の中間層は6㎜の幅を取りますが、真空ガラスの場合は0.2mmの幅で十分な断熱効果を発揮します。

薄くて扱いやすい複層ガラスで、単層ガラス用のサッシへの取り付けも可能です。

真空状態を保持する為、特殊な金属でできた直径0.5mmのマイクロスペーサーが挟み込まれています。

ペアガラスと複層ガラスの違いとは

中間層を設けているガラスのことを、複層ガラスまたはペアガラスと呼びます。

この2つは同じ物として認識されていますが、本来ペアガラスという名称はAGC(旧旭硝子株式会社)の商標登録であり、「AGCから販売されている複層ガラス」が、ペアガラスなのです。

現在ではペアガラスという名前が一般的に広まっており、「ペアガラス」イコール「複層ガラス」として同一の扱いとなっています。

二重窓との違い

窓の断熱といえば二重窓と複層ガラスですが、この2つは全くの別物です。

二重窓は内窓や二重サッシとも呼ばれており、元からある窓の内側にもう1つ窓を設置するため、文字通り窓が二重になっています。

ペアガラスは2枚のガラスを1つのサッシに組み込み、1枚の窓として使用します。

エコガラスと複層ガラス(ペアガラス)の違い

省エネ性が高く近年話題となっているエコガラス。

エコガラスは複層ガラスの一種で、「Low-E金属膜がコーティングされた複層ガラス」のことを、エコガラスと呼びます。

Low-E金属膜は熱の移動を抑えて遠赤外線を反射する効果があり、中間層に面したガラスの片面にコーティングされています。

通常のペアガラスより断熱・遮熱効果や省エネ性が高く設置が推奨されており、国や各自治体から補助金制度が出る場合もあります。

熱の出入り口は窓の割合が大!室温は窓で決まる

住宅の中で熱が一番出入りする場所は窓です。

窓やドアを含む開口部を通して、気温の高い夏は約73%の熱が室内に流入し、寒い冬には約58%の熱が逃げてしまいます。

つまり、お部屋の温度を快適に保つには「断熱・遮熱によって窓から熱の出入りを防ぐ」ことが重要となるのです。

壁や屋根などの断熱に力を入れたり高機能な冷暖房器具を使ったりしても、お部屋が快適な温度にならない、温度が安定するまで時間がかかるといったお悩みがある場合は、窓の断熱の見直しが必要かもしれません。

粉々に砕けた強化ガラス 破片が鋭利で危険なフロートガラス

複層ガラスは専用サッシとの併用がおすすめ

熱の移動を防止する複層ガラスは、専用の樹脂サッシとの併用がおすすめです。

従来から使用されているアルミサッシは熱伝導率が高く、温度が伝わりやすい性質を持っています。

そのため、せっかく窓ガラスを断熱効果の高いペアガラスに替えても、アルミサッシから熱が移動し結露も発生します。

ペアガラスだけでも効果はありますが、断熱や結露防止効果をより実感するには樹脂サッシの導入がベストです。

複層ガラスのメリット

断熱効果・遮熱効果が高い

ガラスとガラスの間に空気の対流が起きない空間を持たせることで、室内と室外の熱の移動を防止できます。

断熱効果と遮熱効果により室内の温度を快適に保つため、冬は暖かな空気を外に逃がさず、夏はじりじりとした強い日差しの熱をブロックします。

省エネ・光熱費の節約にも効果あり

複層ガラスの断熱・遮熱効果が高いと、冷暖房の効率がアップします。

エアコンやヒーターの温度設定を自然と控えめにできますので、電気代や灯油代など光熱費の節約、更にCO2の排出量も低減できるため地球環境にも優しいエコな生活を送ることが出来ます。

結露を防止できる

結露は掃除が面倒なだけでなく、カーテンや壁紙のシミ、カビによるダニの発生やアレルギーの原因にもなります。

毎年冬になると結露が気になる方も多いのではないでしょうか。

窓の外側と内側で温度差が大きいと結露が発生し、ガラスに水滴が付いてしまいます。

複層ガラスは中間層によって温度が伝わりにくくなっているため、結露が発生しにくくなっているのです。

目的に合わせて組み合わせが出来る

複層ガラスのベーシックタイプでは透明ガラス(フロートガラス)が使用されますが、その他の機能性ガラスも用いることができます。

強靭な中間膜を挟んで圧着した合わせガラスを採用すると、ガラスが割れても穴が開きにくく防犯ガラスとしての効果があります。

網入りガラスや耐熱強化ガラスなどの防火ガラス、音の振動を抑える防音ガラスと組み合わせることもできます。

ガラス屋の窓猿で取扱いのある日本板硝子、セントラル硝子、AGCなどの大手メーカーの複層ガラスでは、防犯、防火、防音といった基本の組み合わせが製品化されています。

冷えやすい部屋に高断熱タイプを、書斎や寝室に防犯タイプ、リビングや介護部屋に防音タイプなど、お部屋の環境や目的に合わせた複層ガラス選びがおすすめです。

単層ガラス用のサッシに取り付け可能

複層ガラスはガラス自体の厚さと中間層の厚さがありますので、1枚ガラスと比べるとサッシに幅があります。

そのため複層ガラスの幅に合わせた専用サッシとの併用が望ましいのですが、アタッチメント付きの複層ガラスなら既存の単層ガラス用のサッシにも設置することができます。

大掛かりな工事が不要な簡単リフォームで、窓の断熱効果を得ることが出来るのです。

複層ガラスのデメリット

交換にかかる費用が高額

様々な恩恵のある複層ガラスですが、通常の1枚ガラスに比べると修理や交換価格が高くなります。

ガラスを2枚または3枚使っており、吸湿剤を充填した高品質なスペーサーの使用、乾燥空気やアルゴンガスの注入、真空状態を保つなどの工夫が凝らされているからです。

また、複層ガラスは樹脂サッシとの併用が推奨されていますが、サッシごと交換となると工事の規模が大きくなります。

ペアガラスには寿命がある

ガラスは基本的に割れるまで半永久的に使うことが出来ますが、複層ガラスには耐用年数があります。

寿命は約10年から15年ほどで、中間層内に水分を含んだ空気が入り込んで内部結露が起きると、断熱効果が一気に低下してしまうので交換が必要となります。

水分が入り込む原因はガラスを支えるグレージングチャンネルの劣化によるものがほとんどです。

複層ガラスは製品によって10年保証がメーカーから標準で付属していることが多いので、使用期間が10年未満なのに内部結露が起きた場合には交換対象となる場合があります。

出張ガラスサービスtel