防火ガラスについて

耐熱性の高い防火ガラスについて

防火ガラスとは

防火ガラスは耐熱性が高く、高温の炎で熱せられた際に割れ落ちを防止できる機能ガラスです。

火災時に炎や煙の出入りを防ぐことができるため、延焼リスクの高い窓や扉には設置が義務付けられています。

従来では網入りガラスが幅広く使用されていましたが、近年では防火以外の性能も兼ね備えた防火・耐熱ガラスが多数開発されており、網入りガラスが割れた際には取り替える方が増加傾向にあります。

防火ガラスの効果

一般的に窓に使われているフロート板ガラスは熱に弱く遮熱性がありませんので、火事などで高温の状態になると簡単に割れて窓枠から脱落してしまいます。

火災時に窓が割れ落ちると、そこから炎が移動してしまうだけでなく酸素も流入しますので燃え広がりのリスクが高まってしまのです。

防火ガラスは国土交通省によって「防火設備」として認められており、優れた耐火性・遮熱性によってガラスの割れや窓枠からの脱落を防止し、火災被害の拡大を最小限に食い止める効果があります。

お住まいの地域や状況によっては防火ガラスまたは耐熱強化ガラスと認定サッシの設置が必要です。

防火設備とは?

防火設備とは遮炎性の高い設備のことで、炎の進行を遮り火災被害の拡大や煙の拡散を防ぐ目的で使用されます。

建築基準法で防火地域や準防火地域と定められている市街地やその周辺などにおいて、炎が流入・流出するリスクの高い玄関や窓といった建物の開口部には火炎を遮る設備の設置が義務付けられており、防火戸や防火シャッター、ドレンチャーなどが当てはまります。

防火設備は建築基準法施行令第109条の「遮炎性能に関する技術的基準」を満たしている必要があり、火災によって熱が加えられた場合に、加熱開始後20分の間、加熱面の外に火炎が移らないものと規定されています。

防火ガラスの認定基準

防火設備は「国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものに限る」とされています。

網入りガラスは、平成12年5月24日建設省告示第1360号の第一、二の二により、防火設備として国土交通大臣が定めた構造方法として認められています。

耐熱強化ガラスは、防火設備の主構成材料として認定されており、防火設備に認定されたサッシと組み合わせることによって、防火設備としての使用が可能となります。耐熱板ガラスの規格に適合している製品には「fG」マークが表示されており、カーテンウォール・防火開口部協会(通称:カ防協)の耐熱板ガラス品質規格に適合することを示しています。

防火ガラスの種類

防火ガラスは一般的に、網入りガラスまたは耐熱強化ガラスが使用されています。

基本的な防火性能があり低価格で防火ガラスを設置・交換するなら網入りガラスですが、快適さや安全性にも優れたガラスを選ぶならワイヤレスタイプの耐熱強化ガラスがおすすめです。

以下で網入りガラスと耐熱強化ガラスの特徴や種類、メリットやデメリットをご紹介いたします。

網入りガラスの特徴

網入りガラス

市場に多く出回っており戸建てやマンションやアパートといった住宅のみならず、ビルや店舗などで昔からよく利用されている馴染み深い防火ガラスです。

ガラスの中にワイヤーを埋め込んでおり、網は格子状または菱形上になっています。

ガラス自体は透明な磨(みがき)と表面に凹凸がある霞(かすみ)の二種類が一般的です。

網入りガラスのメリット

網入りガラスのメリット防火ガラスの中では、修理や交換にかかる金額が一番安価ということが最大のメリットでしょう。

また、需要が高いため割れた時にすぐに交換対応が可能なガラス屋が多いです。

網が入っていることによってガラスの割れ落ちを防ぐ効果があり、ガラスが割れた時に破片が飛散しにくいという特徴があります。

網入りガラスのデメリット
網入りガラスの熱割れ

熱割れや錆割れという自然破損のリスクがあり、ワイヤーは簡単に切ることができるため防犯性や安全性も低いというデメリットがあります。

また、網があるため視界が遮られ、お部屋に閉塞的な印象を与えてしまいます。

耐熱強化ガラスの特徴(ワイヤレス・網無し防火ガラス)

耐熱強化ガラスのマイボーカ

板硝子に特殊な熱加工を加えることで、網が無くても優れた耐熱性と衝撃への耐性を持っています。

熱処理によって強度が飛躍的に向上しており、強化ガラスと同じ性質のため安全性にも優れています。

耐熱強化ガラスは防火設備に認定されたサッシと耐熱強化ガラスが一体であり、製品と施工仕様などの規定に基づいて使用される場合に防火設備として使用することができる製品です。

耐熱強化ガラスのメリット
  • メリット1 視界を遮らない

    耐熱強化ガラスはガラス内に金網が封入されていないため透過性が高く、防火性を保持しつつクリアで開放的な空間づくりが実現できます。

    「網は嫌だけど目隠しができる防火ガラスが良い」という方に向けた、表面に霞加工が施された不透視タイプもございます。

  • メリット2 強度があり、安全性も高い

    耐熱強化ガラスの性質は安全性の高い強化ガラスと同じで高い耐衝性を誇ります。

    通常のフロートガラスと比較すると強度は6倍以上、強化ガラスの2倍以上にもなります。

    強い衝撃を受けてガラスが割れた場合には、ガラスの破片が粉々に砕けて粒状となります。

    鋭利な破片が残らないので人体を傷つける恐れが低く、地震や事故の際に二次災害を防止できます。

  • メリット3 ガラス自体が軽い

    金網が使用されておらずガラス自体も薄く軽量化されているため、窓の開け閉めが楽で扱いやすく、サッシへの負担も軽減されました。

  • メリット4 自然破損の心配が無く、製品保証は10年

    網入りガラス特有の自然破損である熱割れや錆割れの心配もありません。

    また、自然破損に対しては10年間の製品保証が適用される製品がほとんどとなっています。

  • メリット5 合わせガラス・ペアガラスなどで組み合わせ可能

    合わせガラスは2枚のガラスの間に特殊な中間膜またはポリカーボネート板を挟んで圧着加工して作られています。

    防火ガラスを合わせガラスに採用することで、防犯性や紫外線カットなどの効果も得ることができます。

    ペアガラス(複層ガラス)は2枚のガラスの間に中間層を設けたガラスで、熱を室内外に伝えにくい性質です。

    使用する2枚のガラスのうち1枚に防火ガラスを採用することで、断熱性や遮熱性、省エネ性や防犯性、紫外線カットなどの効果を得ることができ、快適さや安心さが向上します。

    網入りガラスもペアガラスに使用することが出来ますがサッシが重く熱割れや錆割れの恐れがあるため、現在は耐熱強化ガラスを使ったペアガラスがおすすめです。

耐熱強化ガラスのデメリット

通常のガラスに熱処理を行いますので、網入りガラスと比較すると交換や設置にかかる費用が高額となります。

特に合わせガラスやペアガラス(複層ガラス)では使い勝手が良く快適さや省エネさ、安心機能などを得ることが出来ますが、そのぶん料金が高くなることに注意しましょう。

耐熱強化ガラスの製品保証
製品名 自然破損の10年保証
AGC(旧旭硝子) マイボーカ
日本板硝子 パイロクリア
セントラル硝子 ファイアレックス

出張ガラスサービスtel