強化ガラス

強化ガラスの特徴や効果、交換について

強化ガラスとは

粉々に砕けた強化ガラス 破片が鋭利で危険なフロートガラス

強化ガラスはフロートガラスに比べて強度が高く、割れるときに鋭利な状態にならずに砕けるという特徴があります。

耐風圧強度は一般フロートガラスに比べておよそ3.5倍から5倍以上と高いため、一般的な板ガラスより破損しにくくなっています。

硬いボールをガラスに向かって落とす実験を行い、通常の板ガラスが20センチの高さまで耐えられたとすると、同じボールを強化ガラスに落とした場合は60センチから100センチの高さからの衝撃にも耐えられるということです。

また、通常のガラスは衝撃に弱いだけではなく、割れた後の破片が非常に鋭くなってしまうため、怪我をしてしまう可能性が高いです。

強化ガラスは安全ガラスとも呼ばれており、地震や台風や事故など万が一の際に二次災害リスクを解消するために生まれたと言っても過言ではありません。

強化ガラスは強化炉というガラス強化専用の炉に入れて加熱処理を加えられ、その後ガラス両面に冷風を吹き付けることで急激に冷却するなどの加工方法によって製造されています。

一般的には熱処理によって製造されることがほとんどですが、中には薬品処理で製造する方法もあります。

加熱冷却処理のケースでは、熱したガラスが急冷すると表面のみが冷却されることにより内側がゆっくりと冷えていくことでガラスの表面に引っ張り応力が生まれ、外からの力に耐えうる強度を出すことができるようになるのです。

強化ガラスと通常のフロートガラスは見た目では識別困難ですが、偏光板を使うと角あたりに虹色の縞を認識することができます。

この虹色の縞模様が確認できていると、強化ガラスの表面に引っ張り応力がしっかりかかっているということなのです。

強化ガラスの種類

強化ガラスの多くは透明なフロートガラス状の見た目をしていますが、ガラスに様々な加工を加えることで、強度だけでなく見た目にも特徴が現れます。

強化フロートガラス 通常の透明なフロートガラスに熱処理と急速な冷却を行うことで強度が上がり、破損しにくくなっています。
強化フロストガラス ガラスの片面の表面をサンドブラスト処理によってすりガラス調に加工を施した後、フッ化水素で化学処理を行うことで滑らかな風合いに仕上げたガラスです。タペストリーガラスとも呼ばれており、表面はサラサラとしており手垢や指紋や汚れが付きにくく、優しい乳白色なので目隠しになります。
強化高透過ガラス 一般的なガラスは元々少し緑や青みのある色合いですが、極限まで無色透明に近付けたガラスです。ガラスを通して物を見たときに色を損なわないため、ショーケースやコレクションケースなどでの使用に最適です。
強化熱線反射ガラス ガラスに微量の金属を加えてグレーやブロンズに着色したガラスです。遮熱性が高く、太陽の日射光線や紫外線などを通しにくいため日当たりのよい部屋などで室内の暑さを軽減する効果があります。スモークガラスやミラーガラスとも呼ばれており、マジックミラーのようなガラスなので外部からの視線は反射によって遮られ、室内から外は見渡せます。

強化ガラスは何に使われているのか

強度が高く安全性も優れている強化ガラスは、一体どのようなものに利用されているのでしょうか。

よく利用されるのは、ガラステーブルや窓など、より耐久性が求められるものに使用されます。

耐荷重かつ耐風圧が強いので、荷物を置いても丈夫で、窓であれば台風などの強風にも耐えることが可能です。

さらには、最近はフライパンの蓋やコップ、コンロのガラストップなどキッチンでも利用されることが増えています。

ガラストップコンロは光沢があることで見た目も美しく、汚れが落としやすいという特徴があることから多くの家庭で採用されています。

さらに強化ガラスのコップは幼児用専用グラスにも使われていることも多く、うっかり子供が床に落としても割れにくい素材を使うことでお子様の安全を保つことができます。

あくまでほんの一例を挙げましたが、強化ガラスは生活に大変密着したものに使われることが多いです。

もちろん私たちの身の回りにあるガラスが全て強化ガラスと言うわけではありません。

ですが、家庭以外でも商業施設や店舗、オフィスのパーテーションや間仕切りやディスプレイ棚にも使われることがあり、メリットを生かしたシーンで強化ガラスは活用されています。

強化ガラスの性質と安全性について

強化ガラスは前述のように強度が非常に高く、割れにくい性質です。

万が一破損したとしても、破片が鋭利なものではなく細かい粒状になるという性質を持っているため、災害時や事故の時に怪我をしにくいというメリットがあります。

そのため別名で安全ガラスとも呼ばれています。

強化ガラスが割れた時に粉々になるのは、ガラス表面にある圧縮応力層とガラス内部の引っ張り応力層のバランスが一気に崩れることが原因です。

強化ガラスの破片はフロートガラスほど鋭利ではなく安全性は高いのですが、粉々になった強化ガラスは遠くまで飛散する可能性がある点には注意が必要です。

強化ガラスが割れる理由

強化ガラスなのに割れてしまうのかと疑問に思われる方もいらっしゃると思いますが、強度が高いだけでガラスには変わりがないため割れるのは当然のことです。

この破損が起きる原因は、小さく鋭いキズがガラス表面に付いてしまった、ガラスの中に不純物が混ざっていた、飛来物や地震などのような外部から強い力が加わった、一点に強い衝撃を受けたなどの場合に起こります。

お客様から「部屋のガラストップテーブルが突然前触れもなく割れたが理由が分からない」というお問い合わせが時々ありますが、これは、ガラスの表面に小さな亀裂ができたり強い力が何らかの形で加わったりした場合、ガラス内部の引っ張り応力層までキズや欠けが進行することでバランスを崩し、一気に破損してしまったという原因が考えられます。

さらに強化ガラスの弱点はガラス表面でなく小口(エッジ)部分で、表面にキズもない新品の状態で割れるといったトラブルが発生する原因にもなります。

小口部分は板の厚みの6分の1ほどに圧縮応力層が形成されていて、内部に引っ張り応力層が形成されるという仕組みです。

つまり、表面でなく小口部分に衝撃など力が加わった、ちょっと硬いものがぶつかっただけで安易に引っ張り応力層へ欠けができてしまい、破損してしまうのです。

フロートガラスなら小口部分に当たってもその部分が一部欠けてしまうだけですが、強化ガラスの場合は一気に全破損で粉々になるので注意が必要です。

強化ガラスは熱にも強い

強化ガラスの耐熱温度は150~200℃と非常に高く、熱にも強いです。

ただ、強化ガラス=耐熱ガラスというのは誤りです。

通常のガラスより熱への耐性がある程度あるというのみですので、防火ガラスとしての使用はできません。

防火ガラスは網入りガラスまたは耐熱強化ガラスのどちらかとなります。

強化ガラスの交換について

強化ガラスは熱処理後に切ることができません。

無理にガラスカッターなどで切り取ろうとしても、性質上粉々に砕けてしまうからです。

そのため、必要なサイズに切り出してから熱処理を行わなければなりません。

受注生産となりますので、割れて交換が必要な際は早急にガラス屋に連絡することをおすすめいたします。

強化ガラスに防犯性はない!

近年、住宅や店舗の窓において強化ガラスが幅広く採用されていますが、その強度の良さから防犯性も期待できるのではと考えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

しかし、強化ガラス自体には全く防犯性がありません。

前述のように、強化ガラスは、厚みの6分の1あたりの引っ張り応力層に欠けやキズが達すると、いとも簡単に粉々に割れてしまう性質があります。

例えばハンマーやバール、野球のバットなどを利用すれば、いとも簡単に割ることができてしまうのです。

また、一点集中型の攻撃にも弱いため、アイスピックやドライバーなどでも破壊は容易です。

しかも割れたとしても破片は鋭利ではなく粉々になるので、割れた破片を踏んでも触れてもケガの心配もなく泥棒が侵入するのに都合の良いガラスとも言えるでしょう。

防犯性のあるガラスって?

防犯ガラスはいかなるものかというと、防犯ガラスは2枚で貼り合わせた強化ガラスの間に厚い中間膜やポリカボネート板を合わせたガラスのことを呼びます。

強化ガラスは防犯ガラスに比べると価格は安く済みますが、空き巣などのリスクの高いガラスと言えるのです。

マンションやオフィス、戸建住宅などでよく利用されている網入りガラスも防犯ガラスではありません。

ワイヤーが細かく入っている上に厚みもあるので割れにくいのではないかと思われるかもしれませんが、網入りガラスは防火用ガラスとして作られたもので、火災時の飛散を防ぐのにワイヤーが入っているだけで飛び散りも少なくこちらも泥棒に好都合なガラスです。

近年建てられている住宅は比較的防犯合わせガラスを使われている建物が増えているのでその点は安心ですが、注文住宅などの場合も含めて、購入前に窓ガラスの素材についてはしっかり確認をとっておくと良いでしょう。

防犯性の高いガラスをお探しなら、防犯ガラスを選択するようにしましょう。

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